『笠井叡Dance x 高橋悠治Piano『透明迷宮』』
笠井叡は数いる舞踏家のなかでも格別な存在感を示す踊り手である。重みと軽みを併せ持ち、笠井叡という人間のキャラクターが舞台の隅々にまで行き渡っている。
1960年代に舞踏を草創期から支え、その後ドイツに渡ってオイリュトミーを学んだ。帰国後は天使館を設立し、多くのダンサーを輩出した。
本作は、世界的に活躍する高橋悠治のピアノの生演奏とのデュエットである。
バッハ最後の大作『フーガの技法』は未完ながら傑作との評価も高い。対位法で綿密に構築された曲に、笠井は時に寄り添い、時に挑みかかるように踊る。
黒のフレアなドレスから、白い透けたロングドレスへと着替えていく。途中で力尽きたように座り込むが、そこから立ち上がり「ギリギリの身体で踊る姿」は舞踏の真骨頂である。
黒のズボン姿に着替え、再び軽やかに踊る笠井。しかし曲は未完ゆえに、不意に途絶える。それでもただ一人、踊り続ける笠井の姿はいつまでも目に残る。
2008年
シアタートラム
製作(オンライン配信):国際交流基金 (JF) (https://www.jpf.go.jp/)
製作協力:EPAD実行委員会(https://epad.terrada.co.jp/)
<公演情報>
構成・演出・振付:笠井叡
出演:笠井叡
ピアノ演奏:高橋悠治
舞台監督:原口佳子
照明:大野道乃
制作:天使館、NPO法人魁文舎
主催:天使館 (http://www.akirakasai.com/jp/tenshikan/)
助成:日本芸術文化振興基金 舞台芸術振興事業
プロデューサー:花光潤子(魁文舎)
提携:世田谷パブリックシアター
<広報文>
乗越たかお