『ビコーズカズコーズ Because Kazcause』
日本のダンス作品で、政治や社会を題材にしたものは少ない。しかしケダゴロを率いる下島礼紗は、前作『sky』でカルト教団が起こした地下鉄サリン事件などを描き、海外でも高く評価されてきた。
本作は実在の殺人犯・福田和子がモチーフになっている。福田は顔の整形を繰り返しながら約15年間にわたり警察の手を逃れ、時効成立直前に逮捕され世間を騒がせた。
本作ではダンサーが天井に張り巡らされたパイプに飛びついて逃げ回り、身を隠す。三次元的な動きは驚異的である。
本作中では繰り返し「重力」について語られるのだが、それが「どれだけ逃げても、のがれられないもの」の象徴だとすると、それは「罪の意識」だろうか。福田は若い頃、強盗事件で服役していたとき、刑務所内で組織的に行われた強姦事件の被害者でもあった。それは福田が警察から逃げる原動力だったかもしれない。本作中の二人の男性ダンサーは、「重力」同様のがれられない「男性中心の社会」や「暴力」の象徴にも見えてくるのである。
2021
小劇場B1
製作(オンライン配信):国際交流基金 (JF) (https://www.jpf.go.jp/)
製作協力:EPAD実行委員会(https://epad.terrada.co.jp/)
<公演情報>
振付・構成・演出:下島礼紗(ケダゴロ)
出演者:伊藤勇太、小泉沙織、中澤亜紀、木頃あかね、下島礼紗(以上ケダゴロ)、大西薫、平田祐香、竹内春香、浅川奏瑛、鹿野祥平(東京乾電池)
舞台監督:齋藤元太
美術:新海雄大
照明:星洸佳
音響:日影可奈子
制作協力:林慶一
舞台監督補佐:久保田智也
音響オペレーター:北村萌
宣伝美術:天満星南(ケダゴロ)
グッズ担当:末次杏子(ケダゴロ)
企画・製作:ダンスカンパニーケダゴロ
助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京、公益財団法人アサヒグループ芸術文化財団、芸術文化振興基金
<オンライン字幕>
簡体字字幕翻訳:劉五月
繁体字字幕翻訳:詹慕如
英語字幕翻訳:ウィリアム・アンドリューズ
フランス語字幕翻訳:エレオノール・マムディアン
ロシア語字幕翻訳:エカテリーナ・タラソヴァ
スペイン語字幕翻訳:ダビ・タランコ
<広報文>
乗越たかお
配信終了日:2023年3月19日