『老花夜想(ノクターン)』
老いた娼婦「はな」を抱える売春宿「ホテル月光」を舞台に描かれる太田省吾の同名の初期戯曲を、きたまりがダンス化した作品である。人間性豊かな12人の登場人物を、きたまりと竹ち代毬也の、たった二人で演じる。
冒頭、暗闇に浮かぶ二人は互いの身体を背中合わせに縛り付け、かなりの部分を「二人一体」のまま踊る。「はな」を身請けしようとする馴染み客の「ゆうぞう」とのしがらみ。あるいは遠い昔に自分を迎えに来ると言ったマドロスを待ち続ける「はな」の、愚かだが生きる縁(よすが)の希望など、様々な思いが重なる。
描かれるのは月蝕の一夜だ。光と影・男女・老若・現と夢・希望と絶望など、様々な「対」が満ちている。
自分を迎えに来たと勘違いして「はな」が追いすがる若い「マドロス」、そのマドロスを襲った「ゆうぞう」は返り討ちに遭い生命を落とす。この修羅場を、二人だけのダンスで展開するラストシーンは鬼気迫るものだ。
永すぎる希望は毒となる。本作は演劇とダンスの境界に、極めて重い楔を打ち込んだ作品といえるだろう。
2021
THEATRE E9 KYOTO
製作(オンライン配信):国際交流基金 (JF) (https://www.jpf.go.jp/)
製作協力:一般社団法人EPAD (https://epad.terrada.co.jp/)
<公演情報>
原作:太田省吾
振付・演出:きたまり
音楽:やまみち やえ
出演:竹ち代毬也 きたまり
出演(唄):下村よう子
演奏(太棹三味線):やまみち やえ
演奏(囃子):望月実加子、望月左太助
演奏(笛):富澤優夏
声:山道 太郎
小鼓(録音):藤舎呂近
舞台監督:浜村修司
照明:三浦あさ子
音響:佐藤武紀
衣装:大野知英
ドラマトゥルク:新里直之
宣伝美術 :升田 学
記録写真:井上嘉和
撮影・編集:川端将来、西本至則
制作:山﨑佳奈子
主催:ダンスカンパニーKIKIKIKIKIKI
<オンライン字幕>
本映像の多言語字幕は一般社団法人EPADが2023年度に文化庁文化芸術振興費補助金(統括団体による文化芸術需要回復・地域活性化事業(アートキャラバン2))|独立行政法人日本芸術文化振興会)の助成を受けた事業の一環として作成されました。
簡体字字幕翻訳:林舒
繁体字字幕翻訳:SWSG
英語字幕翻訳:Gary Perlman
フランス語字幕翻訳:エドゥアール・ブレナ
スペイン語字幕翻訳:富士 迦楼羅
<広報文>
乗越たかお
<カンパニーウェブサイト>
https://ki6dance.jimdofree.com/
配信終了日:2027年1月18日