『Noh Climax 高砂』
<「Noh Climax」シリーズ 杉本博司 ディレクターズノート>
Noh Climax 翁 神 男 女 狂 鬼 杉本博司
私は前近代を見たいと思う。自然の光の中で、自然とともに舞い、自然とともに奏でていた頃の姿を。電気は芸能から気を奪ってしまった、気を撮り直さなければいけない。
その昔、能は五番立てで舞われていた。日が昇り、「翁」という神事のあと、朝日を浴びて始まり、夕闇の迫る頃、終った。神 男 女 狂 鬼 がその五番。
演劇は劇的でなければならない。人間の性(さが)を五つの性に演じ分ける。曙のうちに神が顕れ、男と女は絡み、狂気が襲い、異界の鬼が現れて終わる。
室町から桃山の場が与えられたとせよ。姫路城と圓教寺。昔のままの佇まい、昔のままのその気配。昔のままのその空気。
古面も与えられたとせよ。能を古面と舞う、能古面(ノーコメン)と、すばらしい。
万媚、小面、痩男。平太、神体、白式尉。そのあと中将も続きます。
なにからなにまで昔の通り、なにからなにまで昔の姿、なにからなにまで昔の響き。なにからなにまで昔のこころ、なにからなにまで昔のほうがよかったな。
<演目情報>
演目は「高砂」。杉本博司のNoh Climaxの意を汲み、姫路城を舞台に自然光の中で前近代を再現。
杉本が所蔵する江戸時代の能面(神体)をつけた能楽師が、自分ならではのクライマックスを舞う。屏風は「松図屏風」(進藤尚郁:1735年)。
著作・製作:杉本博司・ 国際交流基金 (JF) (https://www.jpf.go.jp/)
<作品情報>
出演:
【シテ方】谷本健吾
【地謡】観世淳夫、坂口貴信、川口晃平
【囃子方】笛:杉信太朗、小鼓:成田達志、大鼓:原岡一之、太鼓:前川光範
制作協力:姫路市立美術館、姫路城、書寫山圓教寺、姫路フィルムコミッション、杉本スタジオ
映像制作:公益財団法人小田原文化財団
監督:杉本博司
演出:鈴木心
映像監督:谷聰志
撮影監督:安田光
録音:東岳志
プロデューサー:足立寛
<オンライン字幕>
英語字幕翻訳:ジャイルズ・マリー
フランス語・イタリア語・ロシア語・スペイン語字幕翻訳:日本映像翻訳アカデミー
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配信終了日:2027年9月16日