『俺が代』
国民のために作られながら、その内容を十全には理解されていない日本国憲法。『俺が代』は、舞台上で憲法の条文や制定時に文部省が作った教科書「あたらしい憲法のはなし」、「憲政の神様」と呼ばれた政治家・尾崎行雄や帝国憲法改正案委員会委員長・芦田均の演説などを抜粋・編集し、語るソロ・パフォーマンスだ。舞台には水を滴らせる金属製の樹が立ち、俳優はその周辺を動きながら、憲法にまつわる言葉を吐き続ける。
構成・演出の萩原雄太は「個人の身体と社会との関わりに焦点を当てた作品の上演」を活動指針に掲げており、今作では、形式的な憲法や演説の言葉に間や息継ぎを適宜加えることで、より飲み込みやすい文体に変換。それらを強靭な俳優の声と体を介して発することで、舞台に生々しく刻みつけていく。
終盤では憲法条文の主語が「国民」から「俺」に変わり、冒頭と同じ章が読み上げられる。他人事だった憲法が、個人である「俺≒私」のものになる劇的な変換。その瞬間に制定以来、国民が憲法に保証されながら、国民自身の無関心や怠惰により取りこぼされてきた大小あらゆることが、切っ先鋭く観る者に突きつけられるのだ。
2020
本多劇場
製作(オンライン配信):国際交流基金 (JF) (https://www.jpf.go.jp/)
製作協力:一般社団法人EPAD (https://epad.jp)
<公演情報>
清水 穂奈美(かもめマシーン)
構成・演出:萩原雄太(かもめマシーン)
舞台監督:伊藤 新(かもめマシーン)
照明:千田 実(CHIDA OFFICE)
美術:横居克典、山城裕美
制作 :清水聡美
映像:丹下紘希
題字:木積凛水
演出助手:千葉りか子
<オンライン字幕>
本映像の多言語字幕は一般社団法人EPADが2024年度に文化庁文化芸術振興費補助金(舞台芸術等総合支援事業(全国キャラバン)|独立行政法人日本芸術文化振興会)の助成を受けた事業の一環として作成されました。
簡体字字幕翻訳:呉珍珍
繁体字字幕翻訳:SWSG
英語字幕翻訳:ゲーリー パールマン
フランス語字幕翻訳:ゼグルール・アミラ
スペイン語字幕翻訳:富士迦楼羅
タイ語字幕翻訳:ピヤワン・ニン・サップサムルアム
<広報文>
尾上そら
<カンパニーウェブサイト>
https://www.kamomemachine.com/