『春の祭典 / 残影の庭』
Noism Company Niigataは日本で唯一の公共劇場付きのカンパニーである。芸術監督の金森穣はNDTなど海外の有名カンパニーで活躍してきた。バレエを柔軟に使いこなす西洋の技術のみならず、独自のメソッドを生み出している。
『春の祭典』は白い病院着のようなものを着た男女。初演が2021年である以上、観客はコロナ禍を想起する。『春の祭典』は人知の及ばぬ自然にひれ伏す人間が、より弱い者を「生け贄」として選び出す話だが、金森はそこを超えて、さらに人々が共に厄災に立ち向かっていく姿まで描きだしている。
『残影の庭―Traces Garden』は、武満徹作曲による現代雅楽の古典『秋庭歌一具』と、演奏する伶楽舎との協働。冒頭に三人が並んで動くシーンだけで、カウントではなく呼吸で動きを合わせる緊張に満ちている。指揮者のいない雅楽と、カウントで踊るバレエとの融合だ。井関が艶やかな羽衣で踊るが、死者と語る話が多い能の幽玄さも共存している。形ではなく、身体の有りようの中に和と洋が共存する、希有な作品である。
『春の祭典』
2021
彩の国さいたま芸術劇場〈大ホール〉
『残影の庭』
2021
彩の国さいたま芸術劇場〈小ホール〉
製作(オンライン配信):国際交流基金 (JF) (https://www.jpf.go.jp/)
製作協力:EPAD実行委員会(https://epad.terrada.co.jp/)
<公演情報>
『春の祭典』
演出振付:金森穣(りゅーとぴあ舞踊部門芸術監督/Noism芸術監督)
出演者:Noism0=井関佐和子、山田勇気、Noism1=ジョフォア・ポプラヴスキー、林田海里、チャーリー・リャン、カイ・トミオカ、鳥羽絢美、スティーヴン・クィルダン、西澤真耶、三好綾音、中尾洸太、杉野可林(準メンバー)、Noism2=池田穂乃香、カナール・ミラン・ハジメ、坪田光、中村友美、青木愛実、兼述育見、小林亜優、土屋景衣子、渡部梨乃
音楽:I. Stravinsky
衣裳:RATTA RATTARR
椅子:須長檀
舞台監督:夏目雅也
舞台:中井尋央(ステージワークURAK)、小助川真衣(りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館)
照明デザイン:伊藤雅一(RYU)、金森穣
照明:葭田野浩介(RYU)、伊藤英行(りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館)
音響:佐藤禎(りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館)
製作:りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館
『残影の庭』
演出振付:金森穣(りゅーとぴあ舞踊部門芸術監督/Noism芸術監督)
出演者:Noism0=金森穣、井関佐和子、山田勇気
音楽:武満徹《秋庭歌一具》より *伶楽舎による演奏音源を使用
衣裳:堂本教子
木工美術:近藤正樹
映像:遠藤龍
舞台監督:夏目雅也
舞台:中井尋央(ステージワークURAK)、小助川真衣(りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館)
照明デザイン:金森穣、伊藤英行(りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館)
照明:森谷彩子(りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館)
音響:佐藤禎(りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館)
製作:りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館
初演:ロームシアター京都「シリーズ 舞台芸術としての伝統芸能Vol.4雅楽(2021年1月10日ロームシアター京都)
<広報文>
乗越たかお
配信終了日:2023年10月19日