『ダンサーがチューイングガムを運ぶための3つのフェーズ(準備・移動・撤収)』
本作は、ダンサーの寺田みさこに三人の振付家が振り付けたトリプルビルのうちのひとつである。振付・演出はコンタクト・ゴンゾの塚原悠也。
何もない舞台上に脚立や木材、モニターなどが運び込まれる。箱馬を積み、間に渡した木材の上を、寺田がチューインガムを噛みながら歩いて行く。一角には小さなベルトコンベアが設置され、日用品が次々に運ばれては金属のタライに落ちる様が映像で映し出され、無音の空間に落下音が響き渡る。一般的な意味でのダンス的な動きはほぼない。
これは「人は舞台上に何を見るのか」という舞台芸術の根幹を考えさせる。タイトルの通りガムを噛んで運ぶダンサーの「身体」を見るのか。慎重に木材を渡るダンサーの「動作」を見るのか。身体と舞台美術を含めた「舞台空間全体」を見るのか。おそらくはその全てであり、観客は次々に焦点を切り替えながら「身体・動き・空間」を見ていることを自覚させられる。
そして終盤は粛々と全てのマテリアルを搬出していく。搬入から撤収までが作品なのである。
2018
横浜にぎわい座 のげシャーレ
製作(オンライン配信):国際交流基金 (JF) (https://www.jpf.go.jp/)
製作協力:EPAD実行委員会(https://epad.terrada.co.jp/)
<公演情報>
振付:塚原悠也
出演:寺田みさこ
舞台監督:大田和司
照明:三浦あさ子
音響:西川文章
映像:塚原悠也
写真:岩本順平
プロダクションマネージャー:武井琴
制作:文、横堀ふみ
共同製作:NPO法人DANCE BOX、横浜赤レンガ倉庫1号館
横浜ダンスコレクション2018
主催:横浜赤レンガ倉庫1号館[公益財団法人横浜市芸術文化振興財団]
共催:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本、横浜にぎわい座[公益財団法人横浜市芸術文化振興財団]
助成:平成29年度文化庁国際芸術交流支援事業、公益財団法人セゾン文化財団
協力:丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、contact Gonzo
<オンライン字幕>
簡体字字幕翻訳:劉五月
繁体字字幕翻訳:詹慕如
英語字幕翻訳:ゲーリー・パールマン
フランス語字幕翻訳:メリル・ デヴォー
ロシア語字幕翻訳:インガ・イブラヒム
スペイン語字幕翻訳:ダビ・タランコ
<広報文>
乗越たかお
配信終了日:2023年1月19日