2024/02/9

『薄い桃色のかたまり』

舞台は、東日本大震災から6年が経った福島。避難指示区域では、イノシシが我がもの顔に出没するようになっていた。添田家では、ある日長男の学がイノシシに襲われた。それを助けたのが復興本社に勤めるハタヤマ。学の父・添田良二はハタヤマに感謝したいと家に招き、ハタヤマの固辞にもかかわらず、妻のパエリアをご馳走することに拘る。
一方、線路が見える丘の上には、毎日、若い男がやってきていた。線路も駅も流されたあの日、男は恋人が乗ってくる列車を見るためにその丘に立っていた。また、東京から北へ向かう列車には、恋人を探しに行くミドリが女たちと共に乗り合わせていた。ミドリは恋人に行き会えるのか。震災で失われた線路の復旧を目指す男たちの思いはどうなるのか……。解決の糸口が見えない状況下、探しあぐねる登場人物たちの夢と現が交差し、その向こうに見えてくる情景が美しい。作・演出の岩松了がさいたまゴールド・シアターに作品を提供するのは3作目。出演は、さいたまゴールド・シアターのほかに、さいたまネクスト・シアターの俳優たち。岩松は、本作で第21回鶴屋南北戯曲賞を受賞している。

さいたまゴールド・シアター
彩の国さいたま芸術劇場において、故・蜷川幸雄が芸術監督就任時に、「年齢を重ねた人々が、その個人史をベースに、身体表現という方法によって新しい自分に出会う場を提供する」ための集団作りを提案した。2006年4月、1,200名を超える応募者の中からオーディションで選ばれた55歳以上の48名で発足。2007年6月の第1回公演『船上のピクニック』(作:岩松了)以降、気鋭の現代劇作家による書き下ろし作品など公演を重ね、海外公演も経験し国内外から注目された。しかし、平均年齢80歳を超えるメンバーの高齢化とコロナ禍の活動の困難さから2021年7月、年内での活動終了を発表。12月の『水の駅』を最終公演として15年の活動を終えた。
 
2017
彩の国さいたま芸術劇場 インサイド・シアター(大ホール内)

製作(オンライン配信):国際交流基金 (JF) (https://www.jpf.go.jp/)
製作協力:EPAD実行委員会(https://epad.terrada.co.jp/)

<公演情報>
作・演出:岩松了
美術:原田愛
照明:岩品武顕
音響:金子伸也
衣裳:紅林美帆
振付:井手茂太
擬闘:栗原直樹
演出助手:井上尊晶、比留間晴子、村田千尋
舞台監督:山田潤一
出演者:さいたまゴールド・シアター、さいたまネクスト・シアター、岡田正

<オンライン字幕>
簡体字字幕翻訳:林舒
繁体字字幕翻訳:劉姿君
英語字幕翻訳:ゲーリー・パールマン
フランス語字幕翻訳:藤本さとこ
ロシア語字幕翻訳:インガ・イブラヒム
スペイン語字幕翻訳:ホセ・アントニオ・アンブリス

<広報文>
米屋尚子

配信終了日:2027年2月8日